長期的に同じITベンダーを使うときの注意点

ベンダー選定

東南アジアでITベンダー(インフラ系)を利用しようとすると、日系企業だけでなく、現地で起業している日本人が運営するローカル企業もあります。日系企業を使っている方も多いのですが、日系企業の中でも色々なパターンがあります。

私は、情報系の大学、大学院を卒業後、大手日系IT企業に就職し、3年以上の海外駐在員を経験しました。今は、日本の外資系企業で働いています。大学のころからで換算すると、ITの分野に15年以上身を置いており、そんな経験から、海外で働いている方達や海外で働きたい方たち向けに、そんな日本人としての最前線にいる方たち向けにIT関連の情報を発信して、お役に立てたらなと思っております。

今回は、前回に引き続き、解説を続け、長期的に同じITベンダーを使うときの注意点について、書いていきたいと思います。

1.すごく良いITベンダーと付き合っていたと思ったら。。。

前回は、ITベンダーと長期的に良い関係を作る方法について書きました。

長期的なITベンダーとの良い関係を作る方法

海外で、良いITベンダーを見つけると、盲目的にそのまま使い続ける方が非常に多いことについて、書きたいと思います。

例えば、部品の調達や、部材の購入において、価格交渉や、毎年の価格の見直しは、誰でも普通に行っています。なぜか、ITベンダーの見直しは、昔からの付き合いで、なぜか見直さない企業が多いのです。

私が知っている東南アジアの友人の話を書きたいと思います。

大手企業で働いている方なのですが、通信キャリア系の大手ITベンダーを利用されていました。悪くはなかったので、盲目的に利用を続け、定期的な発注をしていました。発注量は変わらないのに、徐々に担当のエンジニアのサポートが悪くなっていくのを感じていました。

最終的に、今までと同じくらいの作業でミスが出てくるようになり、サポートを悪いと感じているといっていました。私が伝えたことは一言で「既存のお客様を大事にできないってことは、Win-Winでありたいと思ってないから、ベンダー変えたら。」と伝えています。

人は変化することを恐れる生き物です。そのまま同じベンダーを使い続けているようですが、大きな損をしているという事について、説明していきたいと思います。

2.長期的に同じITベンダーを使うときの注意点

良いITベンダーを見つけたら、長期的に付き合おうとするのは当然の事です。一方で、そのまま使い続ける時に、良い企業がそうではなくなる瞬間がありますので、その点について書きたいと思います。

端的に言うと、以下に当てはまる場合は注意です。

a)同じベンダーを2年以上使っている。
b)日本からの出向社員が多いITベンダーを使っている。
c)多角化し始めているITベンダーを使っている。
d)IT系が本業ではないITベンダーを使っている。
e)営業の顔しか見えないITベンダーを使っている。
f)1年に1回、相見積もりをしていない。
上記に当てはまると悪いという訳ではありません。では、なぜ上の状況だと注意が必要なのかについて、解説していきたいと思います。

3.体と同じで定期健康診断が必要です。

先ほど挙げた注意点の中には、様々な理由からリスクをはらんでいる状況だという事を説明します。体が基本的にコレステロールが高いとか、尿酸値が高いだけですぐに病気になるわけではないのと同じで、ITベンダーも1つくらい当てはまったからと言って、すぐにベンダー変えたほうが良いという訳ではありません。

ただ、そこに潜むリスクは理解してベンダー利用するのをお勧めしたいため、この記事を残します。

a)同じベンダーを2年以上使っている。

これは凄く簡単で、一般的にずっと同じベンダーを使うと、「市場競争力の高い価格」や「新しい技術」を提案してもらえなくなる可能性が上がります。良いベンダーにはしっかりお金を落としたほうが良いのですが、ITベンダーも人間です。

優しくてお金を落としてくれるお客さんにはしっかり大きな利益を乗せます。Win-Winの関係を築いていく上で、バランスが取れているのかは2年くらいしたら見直すことをお勧めします。

b)日本からの出向社員が多いITベンダーを使っている。

このパターンの日系SI企業を利用している日系企業は多いと思います。このケースに当てはまる会社は、以下のリスクがあります。

・3年単位くらいで担当が入れ替わる。
・そもそも給与が非常に高いため、販売単価等が異常に高い。
・日本からの大きな数値目標を課せられ、多忙すぎて連絡がつきにくい。

c)多角化し始めているITベンダーを使っている。

東南アジアでは、ITだけではやっていけないため、リノベーションや、家具の手配もしているベンダーがあります。正直、そういう企業はあまりお勧めしません。

理由としては、ITという非常に広くて深い知識を身につける時間を家具やリノベーションにまで知識の幅を拡げなければならないからです。

そんな企業は、実は、ITの知識が低い可能性が出るのは当然です。多角化の方向性がITに関係のない、オフィスのリノベーションや家具みたいなところに手を出している業者は気を付けましょう。

d)IT系が本業ではないITベンダーを使っている。

本業で稼げない企業がよくやりがちなのがITインフラの提供で儲けるという手段です。本業が儲かっている企業でも、多角化の一環でITの中でもプリンターなどがメインなのにやっている企業があります。

注意点としては、ITベンダーとして受注したら、他のベンダーに丸投げになるパターンがあります。一緒に来ているエンジニアがそのITベンダーのアウトソース先で来ている可能性も十分にあります。

それ自体は悪くないのですが、アウトソースしかしていない企業に発注をする意味はあるのでしょうか。お付き合いで発注をするという状況でない限りは、利用を控えたほうが良いかもしれません。

e)営業の顔しか見えないITベンダーを使っている。

ローカル企業でたまにあります。非常に人数が少ないと、エンジニア作業を営業が行うという事があったりします。小さい企業を否定はしませんが、バックアップがいないかもしれないリスクは、しっかり認識して発注することも重要です。

f)1年に1回、相見積もりをしていない。

私は、大きな案件は必ず相見積もりをお願いすることをお勧めします。定期健康診断みたいなもんで、検診をするとなると、される側はある程度、価格の適正化や、技術力のあるエンジニアのアサインをする可能性が上がります。1年に1回、相見積もりをして、「ずっと使い続けるわけではない。」というメッセージを出し続けましょう。

4.まとめ

前回の長期的なベンダーとの関係構築に続き、今回は、長くITベンダーと付き合うときに知っておくべきリスクについて書きました。

良いベンダーを見つけたら、長く付き合うべきですが、問題が起きたときに想定していたことかを知っておくのは非常に重要ですので、ベンダー選定後もベンダーの状況を常に監視しながら、良い関係を築けるとよいですね。

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