東南アジアでITベンダー(インフラ系)を利用しようとすると、日系企業だけでなく、現地で起業している日本人が運営するローカル企業もあります。日系企業を使っている方も多いのですが、日系企業の中でも色々なパターンがあります。
今回は、前回に引き続き、解説を続け、長期的なITベンダーとの良い関係の作り方を書いていきたいと思います。
1.安いベンダーに飛びつくだけだと。。。
前回は、良いベンダーを見つける方法について書きました。
東南アジアでITベンダーを選ぶとき、どんなところを見て選ぶと良いか。
海外で、ITベンダー選びを終え、ある程度やりやすいベンダーを見つけたら、しっかりと長期的に関係を築く必要があります。一方で、ITベンダーを利用する際に、非常に小さな見積もりの価格を比較して早いスパンでベンダーを変更する企業もあります。
簡単な業務であればよいのですが、良いITベンダーが持っている物は、高い技術力だけではありません。現地のローカルIT担当や経理担当と良い関係を築き、必要なことを適切なタイミングで提案したり、長期的な関係を築くために、無理にソリューションを販売したりはしません。
安いベンダーに変えた時に、その企業が安い理由はもしかしたら、別の案件で大きく利益を得るために、必要のない物を提案してくるかもしれません。大きな価格差がついている時は、その理由をしっかりと見極める必要があります。
2.ITベンダーとなぜ長期的な関係を築くべきなのか
ITベンダーと長期的な関係を築くメリットは非常に多く、下に述べる通りですが、可能な限り、1社か2社程度のITベンダーをうまく使っていくのがおすすめです。企業規模にもよるので、企業規模が50名程度の企業であれば、1社のベンダーで良いでしょう。
b)問題解決までの時間が大きく短縮される。
c)小さな作業は無料でやってくれることもある。
d)必要な提案をしてくれる。
e)価格交渉が必要な時に相談に乗ってくれやすい。
3.長期的に良い関係を築くために
上記で述べたように、長期的関係を築く場合のメリットはかなり大きいです。ただし、ITベンダーも営利団体のため、長期的に仕事をしていく上では、Win-Winになる必要があります。これは実は、IT業界では難しいのですが、単純に金額だけではありません。
そこで、長期的な関係を築くために知っておくべき事を下に列挙します。
b)保守契約を結べるなら結びましょう。
c)要件を変更しない。またはしっかり任せる。
d)営業、エンジニアにねぎらいの言葉をかけましょう。
e)2年に1回は相見積もりは取りましょう。
a)定期的に発注することを考えましょう。
ITベンダーの中でも、インフラ系は月額ではなく、一時金で売上を上げるところが多いため、非常に不安定なビジネスをしていることが多いです。そのため、案件を定期的にもらえる顧客はまさに最高の顧客。
定期的な発注をするだけで、日々のコミュニケーションや、ITベンダーの力の入れ方が変わるため、小さなことでも発注すると、良い関係を築けることが多いです。
※無駄な発注をしたほうが良いといっているわけではなく、例えば、予算が50万円余ってるから、来季に向けて投資したほうが良いことが無いか聞くのも手です。
b)保守契約を結べるなら結びましょう。
ITベンダーにとって、月額をもらえるお客様も非常に重要です。
一般的なのは保守契約と言って、月額で一定金額を払うことで、定期的にメンテナンス契約を結び、障害対応や、定期的なオンサイトをしてもらうという事をすることで、ITベンダーの中でのそのお客様の優先順位が大きく変わります。
c)要件を変更しない。またはしっかり任せる。
ITベンダーあるあるですが、顧客の要件がコロコロ変わって、設定変更の時間だけで大きなコストになってしまう事があります。これを続けると、いかに多くの案件を発注しても、ITベンダーが疲弊します。
極力、想定しうる要件を事前に準備して、残りは任せるというのも手です。盲目的に任せるのは問題ですが、要件を変えすぎると、ITベンダーは裏で多くの時間を割いていることを理解して指示を出せると、案件自体もスムーズに進むことが多いです。
d)営業、エンジニアにねぎらいの言葉をかけましょう。
実は、これは非常に重要かもしれません。
営業、エンジニアの多くは、お客様のために良い物を提供したい、という思いで仕事をしています。
一方で、お客様からの厳しい要件で日々悩み、納期が守れるかもストレスになります。強いストレスの中で、構築が終わり、お客様から一言、「良かったよ。ありがとう。これからもよろしく。」と声をかけていただいたら、それが非常に大きなモチベーションにつながります。
エンジニアは特に単純なところがあり、お金ではなく、このお客様のために仕事したい、と思わせたら、ものすごい業務量を安く行ってくれることがあります。
自分の部下だけでなく、ベンダーに対しても、人たらしであれば、非常に大きなメリットが得られます。
e)2年に1回は相見積もりは取りましょう。
良いベンダーであったとしても、いつまでも良いのかは別の話です。自信をもって利用し続けるために、他社との比較もたまに入れましょう。特に、いつもより、少し大きめの金額が動くプロジェクトであれば、ぜひ相見積もりを取ってみてください。
10%程度の違いであれば、「ぼったくり」のレベルではないと思いますが、たまにあるのは、40%くらい高いなどがあったりします。
案件が大きくなると、要件の理解の違いで金額が大きく変わってしまう事があるので、ぜひ、要件をしっかりと確認して、それでも金額が高い場合は、価格交渉をしつつ、難しそうであれば、鬼になって既存のベンダーを切ることも覚悟しましょう。
その場合、既存ベンダーには相見積もりを取っているという事は伝える必要はありません。
4.まとめ
前回のベンダー選定に続き、今回は、長期的なベンダーとの関係について書きました。良い業者がいれば、長期的な関係を築くのがよいです。ITベンダーは非常にレベル差が大きいです。良い業者を掴みつつ、成長させて、長期的に安心したITインフラを作っていくのが一番良い方ですので、参考にしていただければと存じます。
Comments