東南アジアでITベンダー(インフラ系)を利用しようとすると、日系企業だけでなく、現地で起業している日本人が運営するローカル企業もあります。日系企業を使っている方も多いのですが、日系企業の中でも色々なパターンがあります。
今回は、前回に引き続き、解説を続け、どんなベンダーが危ないかについて書きたいと思います。
1.ITベンダー選びに失敗すると
以下のリンクで説明した、多種多様なITベンダーについて、選択肢が多ければ良いことではありますが、当然、失敗する選択肢も増えます。
東南アジアでどんなITベンダーの種類があるのかを解説します。
日系企業を選び、日本的な手取り足取りベンダーに教えてもらいながら構築進めようとしたら、実は、もともとの本業が異なるため、全部ベンダー丸投げで、ふたを開けてみたら、何も把握してないなんていう非常に怖いことも起こりえます。
さらには丸投げなので、ドキュメントも間違っていても何も精査されておらず、後で作り直すように依頼しても、分からないなんて言われることも。
まず、「疑わしきは、必ず確認し、不安が残る場合は使わず。」の精神でベンダーと向き合うのが良いと思います。企業の大きさやブランドなどに関わらず、次に説明するポイントを見るのが良いと思います。
2.注意するべきなポイントの分類
ITベンダーと付き合う上で、会社の規模などは、実は選択のポイントとしてはあまり重要ではありません。セキュリティーやコンプライアンスなどを重要視しすぎるがあまり、スピード感が無いなんてことも起こりえますので、現地で必要とされるスピードを考えると、もしかしたら、割と小さめの企業のほうが早くて助かるなんてこともあると思います。
以下のポイントが上から重要だと思っていますので、それぞれについて、次の章で解説していきたいと思います。
b)ローカルスタッフとの相性
c)ローカルパートナーとの相性
d)組織としての強さ
e)技術力の高さ
f)メインの事業体
g)多角化経営のレベル
h)日本でのメイン事業
i)企業の大きさ
3.注意するべきポイントについて
ITベンダーで日系企業が海外に進出した際に、日本にいる時のように、非常に大きなITベンダーを使うことはあまりないかもしれません。より人と人のつながりが重要になってくるポイントが高いため、その点について1つ1つ解説していきます。さらに、組織や企業の、どの辺を見ていくべきなのかを見ていきたいと思います。
見るのは難しいのですが、アンテナを張って、注視していただけると、失敗する確率が下げられるんじゃないかと思います。
a)お客様と営業・技術担当の相性
最も大切なのは、お客様と向き合う営業・技術担当が信頼出来て仕事しやすい方かという点です。仕事してみたら、やりにくい。言い方が好かないなんてことはよくあります。ITベンダーの選択肢がないなんてことはまずないと思いますので、担当が合わない場合は、担当変更をお願いするか、ベンダー事変えるのがよいです。
b)ローカルスタッフとの相性
日系ITベンダーで、見ることがあるのが、ITベンダーのローカルスタッフと日本人スタッフのコミュニケーションがうまく取れていない企業です。日本人の語学力の影響か、当日作業でミスが多かったり、日本人スタッフが怒っていたりしたら最悪です。長期的には絶対に付き合わないほうが良い企業でしょう。
お客様のローカルスタッフとの相性も重要です。ローカル同志以上に、ローカルと仲良くなれる日本人も沢山います。日本人だからという言い訳をするような方は、基本的には、経験が浅いと思いますので、避けたほうがよいでしょう。
決裁権のある日本人だけでなく、ローカルスタッフにも気を使える担当は逆に今後やりやすい担当であるポイントの一つになると思います。
c)ローカルパートナーとの相性
ITベンダーが自社ですべてのサービスを提供することは珍しいです。ケーブリングやネットワーク、サーバーから、CCTV、PBX、ドアアクセスシステムなどに至る全てを自社では行っていないと思います。その際に、ローカルパートナーと慣れた感じで仕事できているかも見ましょう。
もしコミュニケーションがうまく言ってないと感じた場合は、もしかしたらベンダーとの関係が悪い可能性があります。ローカルパートナーがコロコロ変わると、同じお願いをしてるのに、違うアウトプットになる可能性も出てしまいますので、Win-Winの関係を気付けていそうかなどはアンテナを張るのが良いです。
d)組織としての強さ
担当営業や技術が良いと感じた後に、大きな障壁になりうるのが、組織の強さです。例えば、ITだと、技術担当がいない状態で障害がおこると、別の人にお願いしないといけなくなります。営業は1名で良いと思いますが、技術担当が最低でも2名は顔が見える形じゃないような企業は体制的に余裕がなさすぎる可能性がありますので注意が必要です。
ずば抜けてる技術力の担当がやってくれればいいのですが、海外ですと、日本以上に転職でいなくなる可能性が上がります。技術担当のバックアップがあるのか、運用部隊はいるのかなど、組織のバックアップ体制を見るのは重要です。よく担当が変わるような体制の企業は転職したくなるような状況があるのかもしれないので、注意が必要です。
特に、出向社員が辞めていくような企業だと、かなり注意が必要です。
e)技術力の高さ
ITベンダーにアウトソースする目的として、「自社でできないからアウトソース」するというのが一般的でしょう。その中の要素として技術力が入ってきます。一方で、この技術力ですが、かなり業者によって差が出ます。
ITは進歩が速いため、新しい提案などを持ってこない企業は、日々学んでいない可能性もありますので、日本のIT担当とつないで、話をしてみてもらうのもありでしょう。ITの技術力が高ければ、それだけで劇的に安く品質の良いITサービスを受けられる可能性があります。
高かったとしても、それを喜んで払ってでも業務を効率化したいなどの要望もかなえられるかもしれません。技術力という言葉の定義は広いですが、個人的には、「顧客が幸せになるサービスを提供できる力」が技術力だと思いますので、日本のIT担当も巻き込んでチェックしてもらいましょう。
f)メインの事業体
その現地企業が何の事業がメインにしているかをしっかり見ましょう。たとえば、電話機器の設定が強い会社が通信キャリアのハンドリングに詳しいかは分からないですし、プリンターで有名な会社がITベンダーとして使いやすいかは全く別の話です。
「餅は餅屋」という言葉がありますが、メインの事業体が何なのかを知っておくのは良いと思います。たとえば、電話設定をしてもらったついでに、何かやってもらったら、全く問題なく安心できるから任せていくといった感じで、段階を踏んで依頼をかけるのが良いでしょう。
g)多角化経営のレベル
たまに、本当に何でもやるレベルで多角化している企業がいます。ITベンダーなのに、Webサイトの構築から、ケーブリング、ネットワーク設定、サーバー、CCTV、PBXまでならまだしも、オフィスの内装や経理システムなど非常に手広くやっている企業もあります。
悪いという訳ではないのですが、1人の人間で、これほど多くの商材を扱うのは不可能です。当然、知識は広く浅くになりますので、依頼するのは楽に感じるかもしれませんが、よりお得な使い方などについて、知識が深いかはまた別の話です。
多角化しているのは悪いことではありませんが、全く分野違いなことを同じ営業がサポートしているなんてことがあった場合は、その営業の力量の見極めは非常に重要です。
「餅は餅屋」です。
h)日本でのメイン事業
日本でメインにしている事業も少しだけ意識しておいた方が良いです。日本では全く異なることをやっていて、現地企業のメイン事業と異なっている場合、企業の数字が上がらないと、撤退の可能性も上がります。長期的な視点で仕事が出来る相手かを、少しだけ見たほうが良いかもしれません。
i)企業の大きさ
あまり重要ではないと思っていますが、企業が大きい方が、長期的には廃業する可能性などが低いため、良いかもしれません。ただし、今まで書いてきましたが、全体の中ではあまり重要ではありません。例えば、廃業したとして、その営業担当はまた別のITベンダーに行くかもしれません。そうなると、そのままその営業担当がいった所を使っても良いわけです。
日本のように、企業が多くて、ITベンダーの変更や選定も時間がかかるとかは無いと思いますので、意外と簡単にベンダーを乗り換えて、長期的な関係を築ける可能性もありますので、日本の大手である必要性というのはほぼ無いと思います。
4.まとめ
今回、選ぶときに注意するべきポイントについて解説しました。海外ではまず、リスクを負わないという事が重要なので、ネガティブな点から入りましたが、次回は、良いベンダーは、どんなベンダーなのかについて書きたいと思います。
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