東南アジアでケーブリングするときにベンダーとしっかり話すための知識

通信キャリア

オフィスに机を増やすので、データポイントも作りたいという事はありますが、ケーブリングする上で安く済ませたい、安心してケーブリングを任せたいという方向けに、簡単に解説したいと思います。

特に、日本でIT以外に関わっていない方が、ケーブリングに関わることは本当に無いと思いますので、参考になれば幸いです。

1.ケーブリングをする際に起こる問題

ケーブリングを行うときに、すごい簡単な作業なのに思ったよりも金額がはねてしまうことがあります。他にも、日本から国際回線を準備するためにケーブルを準備するように言われたけど、なんの種類のケーブルをどうやって引くべきなのかが分からず、間違ったケーブルを準備してしまう事もあります。

まとめると、以下の問題が発生します。

・ドキュメントが無く、なんの作業をしたのか分からない。
・同じ業者を利用しすぎていて、適正価格が分からない。
・ネズミにかじられて断線する。
・他の業者がひっかけて断線する。
・最適な解をもらえずにケーブリングする。
・メンテナンス志向の高くないケーブルリングされている。
・サーバールームが汚く、どのケーブルがどこにつながっているのか分からない。
これらの問題は一般的であり、かつ非常に重要なため、一つ一つ説明いたします。

・ドキュメントが無く、なんの作業をしたのか分からない。

ドキュメントを作成するのが重要ですが、ケーブリング業者は、ほとんどの場合、言われたところにケーブルを引くことが仕事になってしまい、あまり管理業務が得意ではないこともあります。

ドキュメントが無く、どこからどこになんのケーブルを引いているのかを全く把握できていないお客様もいます。どこかで棚卸をして、ケーブルラベルを付けることをしなければ、大きなネットワークトラブルが起きた時に、トラブルシュートに時間を取られてしまうこともしばしばです。

有事の際に迅速に対応するためにも、ドキュメントは必要です。

・同じ業者を利用しすぎていて、適正価格が分からない。

東南アジアで少し書きにくい内容ですが、競争はあるものの、通販などで売られている物ではなく、価格がインターネット上にオープンなものではないので、適正価格が分かりにくいという事があります。

同じ業者を使って居る場合、日本の2割引きくらいだから、安いと思うこともあるかもしれません。ただ、ふたを開けてみたら、他者と倍くらいの値段の差がある事も。買いたたく必要はないのですが、ある程度適正な価格で得ることが大切です。

・ネズミにかじられて断線する。

ネズミにかじられるなんてあるのか?と思うかもしれませんが、意外とあります。古いビルを居抜きでもらう場合なんかは、すでにネズミが先住民の場合もあります。そうなると、駆除しようと思っても駆除しきれないなんていう事もあります。

・他の業者がひっかけて断線する。

他の業者がビルで作業する時にケーブルを断線してしまうなんてこともあります。しかも、他のケーブルを切ったところで業者は何の責任も取りません。なかでも光ファイバーが切られたりしたら、最悪です。LANケーブルのように、途中で切ってくっつけるなんて簡単にはできません。

・最適な解をもらえずにケーブリングする。

ケーブリングについて、経験が無い場合、ベンダーに色々相談をしながらケーブルを引きます。そのベンダーが自分たちの利益を上げたいからといって、手間がかかる作業を推薦しない場合があります。選択肢を与えてくれる業者の選定は非常に重要です。

・メンテナンス志向の高くないケーブルリングされている。

サーバールームのラックの位置を変更したり、追加で新しいケーブルを足そうとすると、全く柔軟性が無く、新しく工事が必要になったり、別経路でケーブルを引かなければならない場合もあります。ケーブルの本数が多いのに、安く見せるために、サーバーの見積もりにケーブルガイドと呼ばれるケーブルの束を逃がすトレーを見積もりに入れていないなんて言う事もあります。

・サーバールームが汚く、どのケーブルがどこにつながっているのか分からない。

サーバールームを見たら、ケーブルがスパゲッティみたいになってて、絶望したことはないでしょうか。サーバールームが汚くなるのは、普段のメンテナンスの問題だけではありません。そもそもケーブルをきれいに引いてくれない業者もいます。

2.ケーブル種類の選定も重要

ケーブリングが上手くいくかは、ケーブルの引き回し方法だけでなく、どんなケーブルを選ぶかが重要ですのでどんな特性があるのかについて、簡単にまとめます。

それぞれにインターフェース(終端形状)とケーブルの性質が重要です。もっと細かい情報はネット上に色々ありますが、基本的なケーブリングを行う上で、ここまで理解していれば十分です。

100m以上の距離は光ケーブル

  • 用途:長距離、高速通信をするときに使います。
  • インターフェース:SC(Square-shaped Connector:四角くて大きめ)、LC(Local Connector: 小さい)
  • ケーブル種類:マルチモード(550メートルまで)、シングルモード(5㎞程度)
  • 利用時の特徴:遠くとの通信が可能だが、一般的に高価であり、次に紹介するLANケーブルよりも折れやすい。
  • コメント:マルチモードのLCインターフェースか、シングルモードのLCインターフェースを利用することが多いのですが、キャリアからケーブル敷設を依頼される場合はシングルモードの場合が多いです。LCを利用することが多い理由としては、LCのほうが細いため、多くのケーブルを指す場所には向いています。次に紹介するLANケーブルは100m以上の距離の通信ができません。そこで、光ファイバーのケーブルを使うことになります。

UTP(LAN)ケーブル

  • 用途:一般的なオフィスにある、PCにつなぐ通信ケーブルです。
  • インターフェース:RJ45(これ一択と言っていいでしょう)、アナログ電話の場合はRJ11という少し小さめの形状になります。そのほか、クロスとストレートというピンの配列の違いがありますが、意識しなければならない場面はあまりありません。
  • ケーブル種類:Cat5(100Mbps), Cat5e(1Gbps), Cat6(1Gbps), Cat7(10Gbps)
  • 利用時の特徴:距離が100mまでで、接続される機器によっては、UTPケーブルからの給電が可能。一般的に一番使われるケーブル。
  • コメント:特に理由が無ければ、Cat5eを利用しましょう。理由としては、「メンテナンスしやすい」、「価格が比較的安価」という点です。Wi-Fiや電話機の給電をこのケーブル経由で行ったりもできますので、非常に便利なケーブルです。ちなみに、UTPとは、Unsealed twisted pairの略で、ケーブルのペアがお互いの磁界を打ち消しあって、ケーブルに雑音が乗らないようにしているケーブルの事です。ケーブルを割いてみるとわかりますが、「より線」といって、ケーブルがねじれているのが見えます。

同軸ケーブル

CCTVなどの場合、UTPケーブルではない場合がありますので、同軸ケーブルも知っておいてよいです。頻繁には使いませんが、東南アジアですと、通信キャリアなどで専用線を構築する時に使われることがあります。実際に必要になれば、指示をもらえますのであまり怖がる必要はありませんが、エンジニアの事を考えると、極力同軸ケーブルではない製品にしたほうがメンテナンスという意味では、良いかと思います。

おまけ:UTPケーブルの色を分けし、サーバールームは細系のパッチコードを用いると管理しやすい。

UTPケーブルは一般的なケーブルであり、非常に多くの色があります。東南アジアでも、複数の色が手に入らない国は無いといってもよいでしょう。そんなUTPケーブルですが、よくどこにつながっているか分からなくなります。

ケーブルをつなぐときに、「繋がればいいや」という考えや、トラブルシュートした後だと、「とりあえず、復旧したから触りたくない」なんていう心理から、ぐちゃぐちゃなままで終わることが多いです。

そこで、ケーブルについて、大切なケーブルを誤って抜かないようにするべきことと、サーバールームのケーブルを動かしやすくする方法について述べます。

ケーブルの色を分けよう。

ケーブルの色を分けることで、問題を減らすことが出来ます。例えば下のようにすると良いです。

・サーバー向けはオレンジ
・ネットワーク機器間は緑
・PC向けは青
このように色分けすることで、問題が発生しても間違ったケーブルの抜き差しを防げます。
細系のケーブルを使おう。

東南アジアではだんだん手に入るようになってきましたが、細系のケーブルというのがあります。サーバールームでは200本くらいのUTPケーブルがサーバーラックに収容されるなんていう事もあります。現地ではそんなケーブル知らないというベンダーもいますので、下のような細系のケーブルを持っていくことで、説明しやすくなると思います。

3.ケーブリングで失敗せず、かつ安く抑えるために

ケーブルを引く際に、1本のケーブルを引くという方もいます。安く抑えたければ、まとめて発注するなどの事を考えたほうがよいですし、事前に気づかぬ落とし穴がある事もありますので、気を付けるポイントを以下に書きます。
・まとめて発注できるようにする。
・使う業者はある程度まとめる。(ただし1社にするかは規模次第)
・ドキュメントを出してくれる業者を使う。事前に準備も必要です。
・提案をしてくれる、選択肢を与えてくれる業者を使おう。
・提案されなくても、PVCやGalvanizeパイプを使おう。

・まとめて発注できるようにする。

発注時に1本のケーブルと100本のケーブルを引くときに、ケーブルを買うだけでなく、人の作業工数も見積もりに入ります。例えば、1本のケーブルを引くのに1時間かかるとしたら、100本引くのは、100時間ではなく、50時間など、より短い時間で終わることが多いです。そこで、ケーブルを発注はできることであればまとめて出せるとよいです。

・使う業者はある程度まとめる。(ただし1社にするかは規模次第)

ケーブリング業者は月額でお金をもらえる保守費のようなビジネスモデルでは無いため、定期的に利用してくれる顧客を優先します。そのため、大手のSI会社の下請けでやっている業者などは、少し高いお金をもらえる可能性のある、お客様と直接契約の1次受けを喜ぶかというと必ずしもそうではありません。

定期的に発注できるのであれば、1社か2社を抱えておき、何社も声かけるようなことはしないほうが効率的になります。

・ドキュメントを出してくれる業者を使う。事前準備も必要です。

ケーブリング業者はパワーポイントって何ですか?っていう感じのドキュメントを出せない業者もあります。業者がドキュメントを出せない場合、メンテナンスという点、見積もりの点で差が出ます。2社から見積もりを取る場合は、どこからどこになんのケーブルを引いてほしいのかをしっかりと準備することで、相見積もりの精度が高まります。

・提案をしてくれる、選択肢を与えてくれる業者を使おう。

ケーブリングを行う上で、経験数が少ないと、どんな方法があるのかわかりません。例えば、モールと呼ばれるケーブルのケースを利用するのか、床を掘るのかなど、ビルや状況に応じて、最適な方法があります。そのような話も、提案が無ければ思いつかなかったという事もあるかもしれません。どういう方法が良いのか、提案してくれるベンダーは良いベンダーでしょう。

・提案されなくても、PVCやGalvanizeパイプを使おう。

ケーブルの保護を行う際に、PVCやGalvanizeパイプというケーブルを保護するパイプがあります。ビルの1階から12階までケーブルを持ち上げる場合、光ファイバーになると思いますが、光ファイバーは非常に弱いため、むき出しだと、ケーブルをひっかけて他の業者が断線してしまう可能性があります。稀に提案をしてくれない業者もいますので、最低限、「ケーブルの保護」は意識しましょう。

4.知っておくと便利な単語

ケーブリング作業の時に、現場のエンジニアやケーブリング業者にお願いをするときに、最低限知っておいた方が良い用語について簡単に解説します。

・物の名前

同軸ケーブル:Coaxial cable

UTPケーブル:UTP cable

クロスケーブル:Cross cable

ストレートケーブル:Straight cable

光ファイバー:Optical Fiber

終端:Termination

SCインターフェース、LCインターフェース:SC interface, LC interface

じゃばら菅(フレキシブルタイプ):Flexible conduit

亜鉛メッキパイプ:Galvanized pipe

塩化ビニル管:PVC pipe

床用モール:Half moon casing, flat casing

四角いケーブルカバー:(Rectangle) cable casing, casing

床を掘る事:Hacking

ドリルの穴あけ:Drilling

フリーアクセスフロア(フリアク):Raised Floor

* フリーアクセスとは、上げ底になっていて、床下にケーブルを這わせるスペースのあるオフィスです。

 

・表現:事前準備

「MDFからサーバールームの2番目のラックの中にシングルモードの光ファイバーを引いてください。」:Please lay the optical single mode fiber from MDF to the second rack in the server room.

「光ファイバーの終端形状はLCにしてください」:Please terminate the optical fiber with LC interface.

「床を掘るの(ハッキング)は最小限にしたいです。」:Please minimize the hacking work.

「サーバーラック内のケーブルは細系のケーブルを使ってください。」:Please use thin cable in a server rack.

「終端のインターフェースはOOO社製のものを使ってください。」:Please use the interface of OOO company.

「UTPケーブルの色を、サーバは緑、ネットワーク機器間は赤、他は青にしてください。」:Please use green UTP for server connection, red for network devices connection and blue for the others.

「一度にまとめて発注するので、ボリュームディスカウントはできますか?」:Could you provide the volume discount if I order all at the same time?

・表現:作業中

「一旦作業を止めてください。」:Please stop work.

「他の業者で作業があるので、休憩の時間は11時30分からにできますか?」: Could you have a lunch break at eleven thirty because other vendor work at that time.

「追加の費用は発生しますか?」: Will you charge additional fee?

「このケーブルは、大きな机の4番のポートにつないでください。」: Please connect this cable to the port number four at the big table.

5.まとめ

ケーブルについて色々書きました。通信する上で、ケーブル配線は無くてはならないです。参考にしていただけたら幸いです。

通信環境に関する情報が必要な場合は、通信回線の品質に困ってませんか?どうやって改善するのか解説します。を確認いただければと思います。

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