不安定な通信環境を安定させる方法は?何を変えるのが良いのか。

マネージメント

東南アジアの最大の敵、それは不安定な通信インフラ環境と行ってもいいのではないでしょうか。

電源事情、水事情、空気事情と同じくらいインターネット環境は重要な企業が多いはずです。

そこで、今回は通信インフラ環境が不安定な状況がどんな場合に起きて、どうやって回避するかについて解説したいと思います。

1.たまに切れるけど、ベンダーに伝えるころには安定してるっていうことありませんか?

朝、会社に来てインターネットがすごい遅い。ほぼ使い物にならなくて、ベンダーに連絡することある方もいると思います。

実際にリモートで見てもらったけど、らちが明かなくて、オンサイトしてもらったけど、結局1時間くらいしてきてもらったときには何にも問題ない。

でもまた次の日には遅くて、連絡するけど直らなくて、だんだん慣れてしまって、諦める。なんていう方もいると思います。

改善の為に、調査をお願いするけれど、通信帯域は問題ないし、手の打ちようがないのかもわからない。

ベンダーも回線に本当に詳しいわけじゃないから、あきらめ気味になり、お手上げですねっていう状態で、テキトーなベンダーによっては、このエリアは雨降ると通信環境が悪くなるんですとか言い始める始末。。。

2.通信インフラが不安定になる要因

ベンダーも通信インフラの問題は分からないとお手上げで、もう頼るところもないなんて言う事もあります。そんな時は、最低限、この下に書いてある事を試してから、諦めても良いかもしれません。

・通信インフラの影響だと思っていたら違うことがある
・時間によって影響を受ける
・ビル内などのインフラ環境の影響
・使っている回線種類の問題
・ネットワーク設計の問題

・通信インフラの影響だと思っていたら違うことがある

通信インフラの影響を考える前に、実は、色々確認したほうが良いことがあります。例えば、Wi-Fiです。Wi-Fi機器1台に対して、40台のデバイスが繋がってるという事はないでしょうか?

うちは20人しか社員がいないからそんなことは無いという方もいるかもしれませんが、実は、ゲスト用のWi-Fiに社員全員が自分の携帯電話を繋げているなんてこともあり得ます。

また、つないでいるネットワーク機器が非常に古く、不安定になっていることもありますし、接続先のサーバーが故障しそうで遅いなんて言う事もあります。なんか通信が遅いと思ったときに、ネットワークを疑う前に、他の部分も疑ってみましょう。

実はセキュリティー機器を入れたら、その機器のCPU使用率が高すぎて、通信速度を下げていたなんて言う事もあります。ベンダーに確認するときに、通信インフラのせいにされてしまう事もありますので、社内ITと一緒に、どこに問題があるのか丸投げにせずに、再度確認する意識が大切です。

・時間によって影響を受ける

出勤時間と、昼食後だけ遅いという事があります。実は、下の事が影響することがあります。

・Windowsアップデート
・メールの送受信
・ケータイ電話のダウンロードが走っている
・休憩中の動画閲覧
サーバーを社内に持たない場合、Windowsアップデートのダウンロードが走ったせいで、全てのPCが同じタイミングでデータのダウンロードを始めてしまうなんて言う事も。回避方法は沢山ありますので、ベンダーに確認しましょう。
メールの送受信は朝PCを立ち上げると、時差の関係で、日本からのファイル付きのメールが既に30通も来てるなんて言う事があります。そうなると、メール受信だけで通信回線を圧迫してしまい、遅くなる子音があります。
ケータイ電話のダウンロードの問題もあり得ます。自宅にインターネットを引いていない従業員もいます。会社に来てケータイ電話のアップロードを走らせて、業務に関係のない通信が発生している場合もあります。
企業に寄っては動画閲覧などをする事で、取引先企業の情報を取得する場合があります。お昼の時間に関係のない動画を閲覧して、通信帯域を食っているなんて言う事もあります。
このように、様々な要因で通信が遅くなってしまうのです。

・ビル内などのインフラ環境の影響

ここからが、インフラに関係する部分です。企業に寄っては、今も光ファイバーが使えないエリアに住んでおり、ADSLやSDSLといった規格の通信技術で通信しているビルもあります。

ビル内は、HDSLという規格で、ビル内に設備を持っている事もあり、ビル内で自社で配線したとしても、ビル管理会社側で配線したとしても、メタル線(銅線)で通信ケーブルを引いている場合は、雑音がのっかってしまい、品質低下がそこで起こることもあるので、雑音原の調査、線の引き直しなどが必要になることもあります。

光ファイバーの場合は、あまりないですが、曲げが強すぎて、不安定になることもあります。配線ルートの確認は必要かもしれません。

こういったことは、回線敷設後に、他の企業の回線敷設によって影響を受けることもあります。物理的な部分も疑ってかかりましょう。

・使っている回線種類の問題

国際IP-VPNやインターネット専用線という回線品種を使っているから必ずしも安定しているというわけではありません。足回り(ラストワンマイル)という、キャリアの局舎から、お客様の宅内までが何で繋がっているかも非常に重要です。大きく分けて、次の4つがあります。

・光ファイバー
・DSL回線(ADSL、SDSLなどのメタル回線)
・モバイル回線(3G、4G、5G)
・マイクロウェーブ回線
可能性としては、上から順番に使っている可能性が高いです。この回線がマイクロウェーブであれば、オフィスから、キャリアの局舎までの間でビルなどが建設されると、壁になってしまい、通信が不安定になることがあります。

・ネットワーク設計の問題

通信の通り道(ルーティングと言います。)をネットワークエンジニアが設計するのですが、途中で変更などが入ると、今まで、シンガポールから通信が抜けていたのに、インターネットに抜ける口が日本になってしまい、遅くなるなんて言う事もあります。通信がどこを通るのかを知ることで問題を特定できる可能性があります。

おまけ:大手通信キャリア提供している回線を利用すると、安定するのか。

通信キャリアは自社の通信について詳しいのですが、必ずしも、現場の人間が通信キャリアに詳しいとは限りません。現地で再販するライセンスを取得することは、多くの国で一般的な企業であれば再販のライセンスを取得することが可能です。

実は、多くのキャリアを使っているSI(システムインテグレーション)系の企業のほうが詳しいこともあり、通信キャリアをしているから、必ずしも通信事情に精通しているという訳ではありません。

一方で、顧客の相談を受けやすいという点でノウハウが溜まりやすいという点もあります。

どっちの業者を使っていたとしても、過信しすぎずに、両社の話を聞いてみることをお勧めします。

3.通信インフラを少しでも安定化させるために

社内の問題ではなく、通信インフラ側の問題であるといいう事が分かれば、試してみるべきことは次の5点です。

・回線種類の見直し
・ネットワーク設計の見直し
・通信キャリアの見直し
・ビル内配線の見直し
・ゲストWi-Fiの別回線化

・回線種類の見直し

まずは回線がマイクロウェーブなのか、光ファイバーなのかを確認しましょう。光ファイバーでなければ、不安定になる可能性は十分にあります。メインで使う回線であれば、光ファイバーにする事をお勧めします。

例えば、キャリア側の設備がない場合、地域の同業企業と協力して、複数社でキャリアに契約する相談を持ち掛けるのも手段です。

・ネットワーク設計の見直し

ネットワーク設計によって、通信が遅くなることはしばしばあります。それがセキュリティーなどの要件で行わなければならない場合、セキュリティー向上の為に、遅くなることを理解したうえで進めることでストレスを少し緩和できるかもしれません。

ネットワーク設計の変更が入る場合は、どうなるのかと、理由を聞くことで、無駄な通信インフラへの不安を取り除くことが出来ます。

・通信キャリアの見直し

通信キャリアを変えるという選択肢は、実は、あまり先に持ってこないほうが良いです。通信キャリアには基本的に最低契約期間があり、キャリア側に本当に被がある場合でない限り、免責にはなりません。

しかも選択肢が少ない地域であれば、通信キャリアを変えたはいいものの状況が改選されないという事もしばしばです。まずは色々試してから、最終手段として通信キャリア変更を考えましょう。

・ビル内配線の見直し

ビル内配線は、先ほど述べた通り、色々な状況が考えられます。他の業者が引いた回線のせいで曲げ率が変わってしまい、不安定になることや、状況によっては、断線ギリギリの状態になることも。ケーブルテスターでケーブルの品質を見てもらうことも試しましょう。

ビル内の配線がダメになった場合は、保守条件やビル管理側との確認が入ります。これもコストがかかるため、しっかりと原因の特定をしてから変えることを考えるといいと思います。

・ゲストWi-Fiの別回線化

社員がゲストWi-Fiを使う事があるといいましたが、ゲストWi-Fiの別回線化も可能です。現地の安い普通のインターネット回線であれば、月1万円しないくらいで引けることが多いかと思います。ゲストWi-Fiはこちらのみ使えるようにし、業務の通信回線は使わせないという方法です。完全に違うネットワークのため、セキュリティーとしても、より堅牢になります。

ゲストWi-Fiを複雑にして、本当のゲストのみが使える仕組みを入れることもできますが、運用できる人材とリソースがいることが前提になるため、ITに詳しい会社でない限り、おすすめはしません。

4.コスト、セキュリティー、可用性、利便性のバランス

ここまで、色々まとめてきましたが、通信回線はコストが大きいため、見直すとしても、色々な事を考えないといけません。特に、以下の点は検討する必要がありますので、日本のITチームなどのサポートしてもらいながら検討する事をお勧めします。

・コスト
・セキュリティー
・可用性(落ちない回線)
・利便性(速い、品質が良い)
全てがコストとぶつかる要因です。セキュリティーレベルを上げようと思えば、機器を入れたり、オペレーションにチェック機能を入れたりと、コストが上がります。可用性を上げるためにはバックアップ回線を入れるなどが必要になります。利便性を上げると、当然コストが上がります。
事業体によって、通信インフラにかけられる予算は異なると思いますので、そこで安定して早くて、セキュリティーレベルの高い通信インフラを手に入れるためにご自身で考えるのが難しい場合、必ず自社のITと相談しましょう。

おまけ:ITチームの苦悩

日本のITチームとやり取りするときに、「なんでこの人たちは、こんなにセキュリティーがガチガチで、値段の高い回線を要求してくるんだ?」という疑問を持たれるかもしれません。日本のITチームの方達の全ては代弁できませんが、大きく分けて2つの事があります。

1つは「セキュリティーレベルを保たないと、日本のITインフラにも影響を与える可能性があるため、非常に慎重になる」、もう一つは「現地の方達の支援はしたいが、頻繁にインフラが落ちてしまうと、日本側でそこに時間を割けるリソースがない」といった事です。

ウイルス感染なんてしようものなら、日本のネットワークに侵入してくるかもしれません。日本のITチームも人が潤沢にいるなんて言うことは無いので、現地でインターネットがどのくらい落ちても事業に影響を与えないのかを伝えるだけで安心感も要求も変わるかもしれません。

ウイルス感染については、通信先を変えることや、スパムフィルターの強いメールサーバーを使う事である程度フィルターできますので、そういった対策を取って安心感を与えてあげるか、最初の内はネットワークを繋がないという方法もあります。

海外経験が少ないITチームですと語学の部分でもハードルが高いなんてこともありますので、キャリアとのやり取りなども現地でサポートできる人を作ることが重要になりますし、ITチームのストレスも軽減されると思います。

5.まとめ

シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、インドネシア、カンボジア、フィリピン、ミャンマー、ラオスといった、東南アジアの国々を想定してますが、基本的には、インドや、中東と言った、世界のどの国にも通用する話だと思います。

通信の品質がどういう要素で決まっているのかを通信回線の品質に困ってませんか?どうやって改善するのか解説します。に書いてますので、興味がある方は、リンクをクリックしてください。

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